カップルにもしもの10のお題「01」

もしも二人以外の時間が止まったら
(「ハロウィン・パーティ」シリーズ志筑×七夜)


志筑の部屋。
簡素であんまり物が置かれていないそこは、慣れてしまえばとても居心地が良い。

そして、今日も今日とて私は。志筑の部屋でまったりと午後の時間を過ごしていた。


「ね、志筑?」

「なんだ?」

「・・・あのさ、もし私たち以外の人の時間が止まったらどうする?」

ベッドの上。志筑の背中に凭れて雑誌をめくっていた私が。
急に。本当にものすごーく急に、思いついた一言だった。

くりっと背後の志筑を振り返ると。

「・・・・・・。」

同じく後ろを振り向いていた志筑が、思いっきり胡乱気に私を見ていた。

んん?なにさ。そんなおかしなこと訊いた?私。

ちょっと首を傾げた私に、志筑が溜息を一つ。

「つまり、俺たち以外動いてないって事か?」

「んー?ん、そう、かな?」

うーん。時間が止まってるって事は・・・動いてないってことだよね。

ちょっと怪しい感じで頷く私に、志筑がにやっと笑う。

「じゃあ、決まっている。普段人がいたらできないこと、だろ。」

「??・・・人がいたらできない事って?」

「知りたいか?」

低く囁く志筑。

んん?・・・ちょっと雰囲気が・・・まずい・・・ような?

なんて、思っても時既に遅し。

私の持っていた雑誌が志筑の手に攫われた。
ばさっと音をさせてベッドの外に放り投げられる。

「んん!?」

ぱふっと音をさせて私の体が柔らかなベッドの上に沈む。

抗議の声は、とっくに志筑の唇に封じられてた。

ああああ、私のッ。私の馬鹿ーッ!何でこんな話題を振ったんだーッ!

しっかり志筑の熱い舌に口の中を探られながら。

じたばたと大きな体の下でもがいてみるも。やっぱり効果は無くて。


そうこうしている間にも。志筑が私の髪を撫でながら何度も深く口付けて来る。

「・・・っん・・・しづ、き。」

口付けの合間に漏れる私の声は、甘くて。

ううー、やっぱり今日も降参だよ。・・・なんか、悔しい。

なんて思いながら、志筑の背中にそっと腕を廻したのだった。



〜Fin〜



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