開いた頁の上、不躾に乗せられたものは無骨な指だった。 「アオイハルと書いて青春、その真っ盛りにいるっつーのにユズってば枯れすぎっしょ。」 唐突に引き戻された現実。 僅かばかりとはいえ驚いた私を気にする素振りも無く、軽い響きで的確な事実を突いてきた闖入者はだらりと伸ばした腕の先にある掌で文庫本の大部分を覆い隠していた。 ――青春。随分と久しぶりに聞く言葉かもしれない。 状況を理解した頭で真っ先に思う。そう思うこと自体、恐らく指摘は的を射ている。 けれどいかに的確であろうと、追っていた文字を唐突に遮られた上に咎めるような視線を浴び、更に説諭までされる謂れが私にあるとは思えない。 「別に枯れているつもりはないけど。」 枯れていないと言い切ることも出来ないけれど、と続く言葉は飲み込み、紙の上を覆っている手を軽く払いのけた後、意図的に眉を顰めて前方へ視線を転じる。 私の前の席には、椅子の背を正面にして逆向きに座っている不機嫌そうな加地君がいた。 昼休み、私が本を開いた丁度その頃にふらりとやってきた加地君はなぜか無言だった。 だから私も声を掛けずに手にした本の上に視線を落としたのだが、全くと言って良い程私が反応をしなかったことが加地君の癇に障ったらしい。集中しだして僅かの後に前述の暴挙にあった。 ――取り立てて話題も無かったから黙っていただけなのだけれど。 加地君の咽喉元辺りに目線を据えてため息混じりに考えていると、椅子の背に前かがみに凭れ掛かった加地君に本を奪われた。 「俺と居る時はこれ読まない、俺を無視しない、了ー解?」 不遜に言い放たれ、呆気にとられる。 別段無視をしたわけではないのだけれど、結果的にそう受取られてしまった私の態度にも多分に非はあるとは思う。思いはするのだが、その分を差し引いたとしても今日の加地君は随分と強硬な気が――否、強硬であるのはいつものことなのだから、これはある意味とても加地君らしい行動なのかもしれない。 わかったからそれを返してと言った私にすんなり戻された本を鞄の中へ仕舞い、加地君に向き合う。 まだまだ加地君の行動は理解できないが、その突飛さに私が大分慣れてきてしまっていることは確かだった。 振り回される確率が減ってきているのは喜ばしいが、果たして本当に喜んで良いのかと問われれば些か疑問が残る。 「そんじゃ話を戻して。ユズはぜってー青春を謳歌しているようにはみえねー。何せ雰囲気全般が黒冬っぽいし。」 ごほんとわざとらしい咳を皮切りに加地君が再び口を開く。 一体何処に話を進めようとしているのだろうか。 「そのあたりの定義は個々の認識によるものだし、別段青春だからこうあれなんて決まりはあってなきがことく人それぞれなんじゃないの。」 「でも世間一般の定義からは外れてるっしょ、確実に。」 即答、しかも語尾に力を込めるあたり加地君も大概失礼な人だと思う。けれど、青春という言葉が醸し出す響きから自分が逸脱している自覚は十二分にあるので、言われた内容に反論できない。至極最もだ。 人生の最終ステージである黒冬の方が青春よりも遥かにしっくり馴染む。 「だからさ、”世間一般的な青春を送ろう計画”を俺は考えたわけだ!」 こぶしを握っての力説だった。 今高らかに宣言された凡そふざけているようにしか聞こえない計画名をまさか彼は本気で言っているのだろうか。 加地君の冗談と本気の境目は理解しがたいと半ば本気で頭痛を覚える。 どう反応したものか暫らく考えた後、私は徐に腕時計の針を確認した。 昼休みが終了するまで残り二十分。今、加地君が坐っているその席に本来いるはずの澤田さんは、彼氏と過ごすのだと言い残してチャイムが鳴り終わると同時に突風の如く去って行った為、恐らく昼休みが終わるまで戻っては来ないだろう。 それは、加地君が自分の意志でここから去ってくれない限り、もしくは諦めてくれない限り、この話題は後二十分は終わらないだろうことを意味する。 「……ユズ、その態度は思いっきりあからさますぎんだろ。はいはいほらそこ、時計見て固まんなよー……って、おーい?」 足の長さが幾分違っている程年季の入った椅子がガタンと想像以上に大きな音を立てた。 私の顔を下から覗き込むように近づいてきていた加地君の眉間には軽く皺が寄っている。 これは避けるように、否、明確に避ける為身体を後ろへと引いた私の行動が原因だろう。 これが世間一般で言うところの気まずい沈黙というものなのかもしれない。 反射的にとはいえ、明らかに彼女がとる行動としては間違っていた気がすると他人事のように思う。 そよぐ風に揺れるカーテン。合わせ目から入り込んでくる日差しはすっかり夏の色を帯びている。 じりじりと焼かれるような陽を浴びた机の天板を挟んで互いに見合う。 貝のように口を噤んだ私を前に、加地君は一度瞬きをした後、にっと笑った。 「あのさ、世間一般的な青春を送ろう計画、ぜひとも内容知りたくね?」 流れた気まずさは霧散した。馬鹿馬鹿しいほどに過剰すぎた私の反応を加地君は受け流してくれることにしたらしい。 知らずに入っていた肩の力を抜きながら、別に、と私は殊更そっけなく答えた。 「いやー、そうかそうか。そんなに知りたいかー。じゃあはりきって説明しちゃうかオレ。」 「加地君、先ず確認しておきたのだけれど、もしかしてそのふざけた名称の計画には私も参加予定なの?」 「何言ってるんだかなー、当然ユズがメインに決まってるっしょ。」 「じゃあ私は不参加だから当然計画は中止ね。」 「オレが不参加とか認めるわけ無いじゃーん。」 語尾をこれでもかという程跳ね上げた加地君は口元こそにこやかであるけれど、目は笑っていない。 「聞くだけなら。」 溜息混じりに呟いた私に加地君が満面の笑みを向けた。 この笑顔は曲者だと思う。 意図的に作られたものだとわかるにも関わらず無邪気に見えるというのは、恐らく生来彼が持った稀有な気質の一つなのだろう。 軽口を叩く加地君の態度に感じる日常、ふざけた会話。 苛立つ事もあるというのに、無ければ無いで落ち着かない。これではまるで――。 「依存性薬物?」 ぼそりと小さく漏らす事で再確認する。なかなかに的確な例えかもしれない。 「んあ? なんか言った?」 「別に。」 はぐらかし溜息を付いて頬杖をした私を加地君は不思議そうに見つめ、けれど直ぐに気を取り直したのか制服の内ポケットから何か薄い紙を二枚取り出した。 何かのチケットのように見える。 「次の日曜日、遊びいこーぜ。」 「いや。」 「……また即答かよ。瞬殺は心臓にわるいっつの。」 うう、とうそ臭いうめき声を上げながらわざとらしく左胸を押さえる加地君をあきれながら眺める。 即答もしようというものだ。なぜ彼はこうも懲りないのか。 一緒に出かけるのは否だと私は以前にきちんと断っている。 「こうさー、世間一般に則ってもっと楽しまないと損だろ? 羽目を外せる時期って人生の中でちょびっとだけだしさー。」 「私は私なりに十二分に楽しんで過ごしているからお構いなく。」 「俺は楽しく無いもんよ、それ。なー、ユズ、あそぼ?」 「そんなに元気が有り余っているのならグラウンドで夕日を背に汗でも流せばすっきりするんじゃないの。」 私としては真っ当と思える提案をしたつもりだが、何処と無く虚ろな目で薄く笑う加地君にはそうではなかったらしい。 間の抜けた静けさの中、窓から入り込んだ風がすうっと頬をひとなでしていく。強い日差しが少し和らぐ。気持の良い午後になりそうだ。 「……ほんっと、つっめてー。」 椅子の背に肘を掛け、がたんと盛大な音を立てて椅子ごとくるりと反対へ身体を向けた加地君が背中を丸めた。 腹を立てているというよりもこれは拗ねている? だとしたら、子供のような拗ね方だ。 私は今日何度目かの、主に加地君が原因であるため息をつき、ゆっくりと教室内に視線をめぐらせた。 教室内の特等席――窓側の一番後ろ――というひっそりと目立たないポジションの威力も彼が一緒にいては半減する、と改めて思う。 ほんの二週間前まで彼氏とはっきり呼んでも差し支えない存在だった彼は、私とは対照的に何処にいても目立つ、人目をひく、そういう種類の人間だ。 現に今もクラスメイトの何人かは時折こちらをうかがっている。 そこにどこと無く不思議そうな気配を感じるのは、おそらく破局したと噂が流れていた時期があった上に、二週間前には私がこの教室、このクラスメイト達の前で加地君に振られているからだろう。 けれど私を振ったにも関わらず、その翌日に加地君は何ら変わることなく、私を彼女というポジションに再び据えた。 振られたその直後に紆余曲折があったわけだが、実はあの時に加地君が何を言いたかったのか時間が経てば経つほどよくわからなくなってきている。 二週間の間に幾人かの女子生徒から結局付き合ってるの付き合ってないのどっちなのよと問い質されたが、私に答えられるはずも無かった。 一体彼にとって私はどういう位置づけになったのか、それは寧ろ私が尋ねたい。 大体において、今の私たちの関係はとても曖昧だ。 告白めいたことをした私への答えを加地君は誤魔化した。否、彼に誤魔化したという意識は無いのかもしれないが、私はその意を汲み取れなかった。 気まぐれのように家へ来ないかと誘われたりもしたが無論嫌だと断り、けれど目下、私は彼の彼女ということになっている。 何もかも全てがあくまで成り行き上という気がしてならない。 「んじゃ、三択な? 一、また家に押しかけられたい、二、外でデート、三、俺んちにくる。さー、どーする?」 再びガタン、と前の席で椅子が音を立てた。 こちらを向いた加地君が指を三本立て私の前に翳している。 「――四。」 「そーいうベタな切り返しは受付拒否な?」 選びようも無い選択肢に選択外の番号で答えると、加地君が意地悪く舌を出した。 突拍子もない答えであれば素直に受け付けてくれたのだろうか、と埒も無いことを少し思う。 「だってさー、ユズってば結局俺んち来てくんなかったじゃん。デート位いいじゃんよー、なーなーなー。」 「加地君、机を揺らすのは止めて。」 ただでさえ立て付けの悪くなっている木製の机はガタガタと揺すられ今にも倒れそうな有様となっている。 自分の額を掌で押さえ言葉で制止するが、加地君はオッケーするまでやめねーと嘯き本当に止める気配が無い。 「その件に関してはこの間一度断っているはずだしその時に理由も言ったと思うけど。」 「ならこの間みたいにユズん家押しかけていーんだ?」 確信犯的な笑顔を覗かせる加地君はとことん性悪だ。 またあの愚行を繰り返すことはどう考えても御免蒙りたい。加地君が姉さんと鉢合わせる可能性もないとはいえない。 これ以上頭痛の種を増やすのは私の精神衛生上から考えても避けるべきだろう。 かといって、私が加地君とデートをする? 申し訳ないがはっきり言って想像出来ない。 そもそも私と一日中一緒にいて加地君が楽しいとは到底思えない。 「デートはしない。家にくるのも止めて。」 「ユズがつめたい……。」 「前と何も変わってないだけ。」 「それがつめてーんじゃんよ。俺、めっちゃユズに告白されたよなー?」 あれは気の迷いだった、という言葉をすんでのところで飲み込む。 あの日以来、何一つそれには触れなかったというのに、今このタイミングで引き合いに出すのは卑怯だ。 何も言わず、まるで何事も無かったかのように私に接してきたのは加地君だったのだから。 だから私も訊かない、何も訊かずにまた加地君が居る生活を過ごしていたのに。 ん? と首を傾げる加地君に悪びれた様子は欠片もみられない。 先程の気まずさとはまた違う、微妙な空気が流れる。 最もそれを感じているのは多分私だけだ。 「踏ん切りつかねぇ? しょうがねぇなぁ、んじゃ、ユズユズ。」 「……ユ……?」 意識せずとも眉間に皺が寄る。 まさかとは思うが、その呼び方は私に対してのものだろうか。 「そ。ユズユズ。デートしないなら、これからずっとユズはユズユズと俺に呼ばれることになるっつーね?」 私には明らかにそぐわない呼称。頭が痛む。 加地君といると私の人生には起こりえなかっただろう事柄がどうしてこうも次から次へと。 この人と付き合えば退屈はしないだろうという当初の私の目論見は確かに正しかった。否、正しすぎた。 「……それ、呼ぶ方も恥ずかしいと思うけれど。」 「いんや、俺は全然まったく。よーし、それじゃー、ユズユ、」 「加地君。」 「じゃ、デート?」 たまりかねて加地君の声を遮った私に、勝ち誇った笑みが向けられる。 こめかみに指先をあて解決策を考えるが、これといった案は浮かばなかった。 仮に私が加地君と同じ方法を試みたところで、効果があるとは思えない。むしろ面白がらせてしまいそうだ。 そもそも加地君をおかしな呼称で呼ぶなど私がしたくない。 不毛な言い合い。引く気配のない加地君。 「……わかった。」 たっぷりとした間の後、溜息と共に渋々ながらも諾と頷くしかなかった。 加地君のペースにまったくもって巻き込まれ過ぎている。 ――けれど一度付き合えば私とのデートに面白みの無いことが加地君にもわかるだろうし、次に誘われる事もきっとない。 考えたとたんに感じたものはきりきりとした痛み。 どこが痛んだのかは気付かない振りをし、意図的に意識の外に押しやる。 加地君の何気ない気まぐれが私にどれだけ影響しているかを、当の本人は恐らく気付いていない。 たった二週間。最初は微かなものだったのに。 気のせいとやり過ごしてしまえたのもほんの数日。 日毎増してくるのでは誤魔化すにしてもそろそろ限界だった。現にそろそろ綻び始めている。 意識的に閉じ込めることはできる。けれど突発的な事態に対応できない。 だから加地君に覗き込まれた時、酷く戸惑ってしまった。 人に触れられるのは、近づかれるのは苦手だった。そのはずなのに加地君は違った。違う、はずだった。 それが今、覆りかけている。 けれどざわざわと身の内を撫でていくこの感覚は、明らかに他の誰にも感じた覚えの無いものだ。 私は彼を拒絶したいのかしたくないのか。 「んじゃ、ユズ。日曜日、八時半にユズん家まで迎えに行くな。オッケ?」 手際よく話を進めていく加地君に了解を求められていた。 詳細を考えるまでも無く、瞬き一つの間も空けずに嫌と拒否した。 「あー、時間早い?」 時間云々ではない。首を傾げる加地君に違うと否定する。 朝は弱いほうではないので待ち合わせは何時でもかまわない。私が否やと言ったのは。 「待ち合わせは駅がいい。」 私の家まで加地君が迎えにくるという事態は出来るだけ阻止したい。 拗れるような要素は無いに越した事はないし、私の今の経験値でこれ以上の厄介ごとはとても負いきれない。 「なーんかユズ、すっぽかしそうな気がすんだよなー。」 「――すっぽかさない。」 存外強い調子で言った自分に少し驚く。 けれどその分の効果はあったらしく、加地君はしょーがねぇなと頭をかき、最後には渋々ながらも納得してくれた。 「んー、そんじゃ八時半にユズんちの近くにあるあの駅な?」 「わかったけれど、何処に行くの?」 「ん? ああ、動物園。」 「……動物園。」 頓着無く答え子供の様に笑う加地君の言葉を繰り返しながら、青春以上の余りに懐かしい単語に確かな眩暈を覚える。 全体どうして何がどうなったら私と加地君が動物園へ行くという運びになるのだろう。 入学当初はこんなことになるとは露ほども思ってはいなかったはずだ。自分の進む道を間違えている気がしてならなかった。 「あー、加地ってばまだ居るしー。もう鐘なるからそこどいてよ。」 頭上から降ってきた少し高めな華やかな声。並べられた机の間に作られた通路には、いつの間にか腰に手をあて仁王立ちをする澤田さんがいた。 「あーわりー、どくどく。もう用事済んだし。そんじゃユズこれ、ちゃんと持ってくるよーに。」 加地君が私に二枚のチケットを渡し、ガタガタと椅子の足を鳴らしながら立ち上がる。 一応保険な? とぼそりと言われたことから察するに、私はこの件に関して余程信用がないようだ。 「なになにー、篠木さん、加地とデート?」 私の手元を覗き込んだ澤田さんが屈託無く問いかけてくる。 どう返したものか考えているうちに、ご名答と加地君が答えていた。 目を細めちらりと加地君をみた澤田さんが、ふーんへぇーほほぅ、と間投詞なのか感嘆詞なのか判別のつかない響きをいくつか並べる。 「加地ー、くっちゃうなよ?」 「うっせ、よけーなお世話様だっつーの。」 加地君が厭そうに眉間へ皺を寄せた。 ……食う? 食べる……食事? それは半日ほども一緒にいれば食事を取ることもあるだろうけれど、そのことでなぜ加地君の機嫌が悪くなるのかわからない。 「くっちゃう?」 何か別の意味があるのだろうかとやや語尾を上げ疑問符をつけて呟くと、席に着いた澤田さんが大きくウェーブのかかった髪をさっと翻し、嬉々とした笑顔を私に向けた。 「ああ、それはね篠木さん、」 「ストップ、タイムリミット。ほら鐘鳴ったろーが。」 加地君が澤田さんの肩をつかんでくるりと前を向かせる。 幾つかの文句が前の席から飛んできたが、加地君はきれいに無視を決め込んだ。 「加地君?」 答えてくれる相手を失い、加地君を見上げる。 失礼な話だが、いつもなら率先して掟破りな行動をする為か常識的なことを言う加地君はやけに胡散臭かった。 質す私に加地君がどこか困ったように頭をかいたと思ったら、何事かを閃いたらしく片側の口角を上げ、にやりと笑った。 「あー……、んじゃあさ、日曜日。計画遂行後に教えるってーのはどーよ?」 計画遂行? そういえば遊びに行く約束をすることになった発端は、ふざけた命名の計画だった。 つまりはデート……らしきものをした後に教えてくれるということだろうか? 加地君は何がそんなに楽しいというのか絶え間ない笑顔で私の隣に立っている。 私は机の上で組み合わせた自分の手の下にあるチケットを一度見つめた後、とても疑問は残るが一応彼氏と呼べる存在である加地君に、一度だけ浅く頷いた。 日曜日――キリスト教の安息日にあたるその日。 好奇心に負け頷いてしまった私にはきっと安息とは程遠い一日がやって来るに違いないと、足取り軽く自分の席に戻っていく加地君の後ろ姿を見送り今更ながらに思う。 それも自業自得と言われれば返す言葉はないけれど。 好奇心というヴェールに覆われたその中には、加地君のことをもう少し知りたい、心が惑う意味を知りたいと望んでいる自分がいるのではないかという気がする。 ――もしかしたら加地君は私にとっての禁断の木の実なのかもしれない。 ラウンド・ファイブ、スタート。 |
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