後編 もしも記憶喪失になったら(2’) (カップルにもしもの10のお題「05」より) |
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動揺する私をよそに、レンが私の上着の前を留めていた釦をあっというまに外してしまう。 顕になったのは、下に着ていた少し厚手の白いブラウス その上から、レンが…私の胸に触れた。 最初はやさしくゆっくりと。でも口付けが加わってからは、シャツが皺になるくらいに揉まれる。レンの愛撫自体が痛いわけじゃないんだけど。 胸の先端がシャツに擦れると、ぴりぴり刺激が走った。 「あ…ん…っ」 ……!?う、わ!なんて声なんだ、私! キスの合間。漏れた声はとんでもなく甘ったるい。 あ、明らかに続きを期待しちゃっているというか。 うう、確かに恥ずかしさで熱くなるよ、これは。 だけど。頬をぽかぽかさせている私の様子を気に留めることなく、レンはどんどん私の身体に触れてくる。 レンと暮らすようになって一ヶ月。もちろんこういう行為自体、初めてというわけじゃないんだけど。それでも相変わらず自分の全部を曝け出している感覚はすごく恥ずかしいもので。 「ナナヤ…」 甘く囁くレンの掠れた声に混じる熱。 胸の先端が、痛いくらいに張り詰める。 やんわりと膨らみを辿るように少し冷たい手が私の肌を撫でていく。 耳たぶを優しく噛まれて頭の芯がじんとした。 流されてる―――のかもしれない、けど。 レンと触れ合うのは、好き。熱い口付けも、少し冷たい手も、情熱的に見つめてくる双眸も…熱の篭った声も。 ああ、もう。やっぱり私この人のことが、どうしようもなく好きなんだ。 「ぅん…あ…っ」 もう身につけていた服は殆ど肌蹴られて。足を伝ってきた指が私の中に入り込んできて。 それは、とても優しくて、ゆっくりした愛撫。 だけど。私は…それが、もどかしくて。 堪らずに私を焦らしているレンの名を呼ぶ。 「レ、ン…レンっ。」 「―――どうして欲しい?」 扇情的な、声。問われて、理性が溶ける。 それに、レンが触れている私の中心はもうとろとろで。 指が、私の中から溢れたものを助けにして、ゆっくりと行き来している。 もどかしくてどうにかなりそう。もっと違う刺激が欲しくて…だけど。 どうして欲しいって…わかってるくせに…い、意地悪…っ! ぐっと言葉に詰まる私を見て、レンが小さく笑う。 だって、いえない。どうして欲しいか、なんて。 固く唇を引き結ぶ私の上から、レンの重みがふっと無くなった。 肌に触れるのは、ひんやりとした空気。 だけど、私の開かれた足の間には、熱くて柔らかい感触。 「あ…っ!」 いやらしい水音を立て、レンが私の蜜を舌で絡めとり吸い上げる。 ん!やだ…もう…っ、私…っ! レンに抱えあげられた足。 そのつま先が反り、絶頂に追い立てられる。 体中、全部でレンを感じる。でもあと少し、のところで。 レンは動きを止めた。 「…れ、レン…?」 「ナナヤ、何か言うことは?」 な…っ!こ、この状態でそれは卑怯ぉ! レンが少し笑いながら私を見てたけど、ぐっと口を噤む。 でも、貝のように口を閉じた私の私の中心をすっとレンの指が撫で上げ、て…もう観念するしかなかった。 「……ちょ…だい…」 両腕で、目元を隠して。出来るだけ小さく囁く。 ねだっている内容が、恥ずかしくてまともにレンを見られなかったから。 なのに。レンは私の腕を掴んで持ち上げてしまって。 艶めいた情欲の浮かぶ目で、私を見ている。 「望むなら俺の全てを」 「ん、あ……あ、あああ…れ、ん…ふ…っ」 圧迫感を持って入り込んできたレンの昂ぶり。 身体の中を、何も考えられなくなるくらい掻きまわされる。 苦しそうに、レンの眉間に皺がよる。 私も熱くて…身体の奥から来る波に攫われるみたいに頭がくらくらしていた。 「―――ナナヤ…ッ」 掠れた、でも熱を含んだ声でレンが私を呼ぶ。 「…んっ…レ…ン…、ん、やぁ…っ!」 ぐっと強く中を突かれて、一番深いところまでレンが入り込んで。 びくん、と…私の身体が跳ねた。 後はもう、甘い痺れと…私の中に放たれた熱だけが、私の感覚を支配する全てになった。 ≫本編へ戻る |
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