ルール01.魔法が効かないことに、私こと桜侑那が愕然とすること
ならびに、柊一路の特異性について考察すること

19




「――で、これナニ?」

私の目線まで持ち上げられた柊一路の右手、その節ばった人差し指にはちょっとごつめなシルバーの指輪が嵌っている。
黒々としたシンプルな服装の中で、唯一の装飾品。

「魔女、これは、何ですカ?」

むっつりと黙り込む私に、柊一路が、はっきりしっかり単語で区切って尋ねてくる。
厭味ったらしい。もう一回言いなおさなくても聞こえてるっつの。
別に聞き取れなくて無視したわけじゃなく、単純に腹を立ててるから黙ってるのよ。

幾ら柊一路が雇用主とはいえ、何でもかんでも言いなりになると思われるのは、心外過ぎる。

だいたいさ、もうマンネリ化の感すらするけど、やっぱり女の子に対する扱いじゃないわよ、これ。
……そりゃ、この男には私が女の子に見えてないのかもしれないけど。
実際、魔女としての私を知っていれば、確かに普通の女の子として扱う気にはなれないのかも知れないけど!

それを差っ引いてもこの乱暴な態度はあんまりだわ。
絶対。この傍若無人男に反省させなきゃあ気が済まない。

あまつさえ。公衆の面前でとんでもなく目立つまねをしくさるし! これじゃあ噂してくれって云ってるようなもんじゃない。一体どういうつもり。
私が動きにくくなれば、それだけ困るのは柊一路、アンタなんだからね、そこんとこわかってんの。

諸々の感情を抱え込み、座り込んだままの体勢で、ギッと柊一路を睨みあげる。
こちらを不機嫌そうに見下ろす双眸。
負けるもんかと、ぎゅっと拳を握り締めた。ここは、絶対、退かない覚悟で。
まばたきすら我慢して、まんじりともせずひたすら黙り込む。

そして。刻々と、淡々と、気まずく、無味乾燥に時間は過ぎ。

うん、あれだ。これはあれだよ。あれ。

――馬鹿馬鹿しい。

見も蓋もない心境に到達した。心なし、遠い目になる。

あああぁ……、なんだか両手は痺れてきたし。おとしどころがまったくみえないし。こうしてても膠着状態が続くだけでどうなるわけでなし。

天変地異でも起きない限り、柊一路が謝るなんてこと、あるはずもない。

……疲れからくる苛々がつのってたのよぅ、私だって人間だもの。
緊張の糸が張りっぱなしの状態なんて、そうそう長続きするもんじゃない。

ゆっくり御飯を食べて、食後に特製ブレンドのお茶を一服。バスタブにクラリセージのエッセンシャルオイルを数滴。のんびりゆったり湯かって体の凝りをほぐし――あああ、わかってる、わかってるの! そんな日々は当分来ないってこと!

ない物ねだり万歳! 寧ろ、この状況にお手上げ! どーしよう、もうここはひとつ私から折れとく? 折れちゃっとく?

なぁんてちょっと私が弱気になっていたら、やっぱり同じように落とし所がないと思ったのかどうなのか、柊一路が先に行動を起こした。

「とりあえず、立ったら?」

ふっと短く息をついて、ふいっと横を向いた後の第一声だった。

トリアエズ、タッタラ? 思わず、頭の中で反芻してしまった。

ちょっ……えええ?! そのいいぐさは何事! アンタ、誰の所為で、すっころんだと思ってんの! ビックリ過ぎるわ!

直前の弱気な私が、すぱーんとものすごい勢いで地平の彼方にすっとんでいった。
アデュー折れそうな心。

半分は意地、半分は呆れてものが言えず、引き続きだんまりを決め込むかたちとなった私をちらりと見下ろして、柊一路が額を押さえる。おもむろに長ぁく溜息。
すっと伸びてきた両手が、私の二の腕を左右共につかんで軽がると立ち上がらせた。

あっという間もなく、両足が廊下を踏みしめ、呆気にとられる。

そういえば。意外と力持ちなんですよね、柊一路さん。確か前にも引っ張り起こされたことあったっけ。確かあれは、私からお願いしたんだけど。

……よし、まあ、それはいい。わかった、なにがわかったのかわからないけど、わかったから!
だから離せ、このっ、ええい! はーなーせえぇ!

目的を果たしたであろう後も私を捉えたままの柊一路から、身を捩って逃げる。正確には、逃げようとした。が、これがまた全然振り解けない。

「あのっ、離してくれませんか」

無言で通してやろうと思ってたのに、しぶしぶ根を上げるしかなかった。
だってさ、ふんぬっと体を左右に振ろうとしても、がっちりホールドされてて微動だにしないんだもん。
色男、力と金はなかりけり、なんていうけど、少なくとも柊一路には当てはまってない気がする。

「――悪かったヨ」

廊下から届く喧騒のなか、ほんの少し躊躇いがちに口を開いた柊一路から、耳を疑う言葉を聞いた、気がした。

………………。

……え、は?

「ナニ呆けた顔してんの」
「ええっ、はい」

……ええと、幻聴? え、えええぇ? て、天変地異?

「あの、柊先輩、ですよ、ね?」

恐る恐る尋ねてみる。
コイツは偽物かもしれん、と、かなり本気で疑わしく思ったゆえの質問だった。

直後、眼を眇めた柊一路から、容赦のないデコピンをくらった。

いったぁぁ! あーあーあーっ、間違いない! 柊一路本人!
乙女の額に問答無用でデコピンくれる男なんて、他に知らないわよおおお!

「それで、これナニ」
「え……、ああ……はい……これは、ですね、ええと、これは……」

なんだっけ。ちょっとまって、ちょっと待ってくれ、ウェイトプリーズだ、柊一路。
本人ってことはよ?

つまり。

謝った? 謝ったの? この傍若無人なオレサマ男が?

なにこれ。まさか聞き間違いだったとかってオチ?
悪かったじゃなくてカルカッタだったとか――。いやまて落ち着け私。
それこそ益々もって意味わからんわあああああ!

「魔女」

ぱんっ、と響いた音にぎょっとして、眼の焦点がばっちり合った。
目の前では柊一路の両手が、丁度打ち鳴らされた形で停止している。

「これ、ナニ」

威圧的に右手の甲だけが翳され、ぱちんとスイッチが入ったみたいに、私の口から嘘みたいにするすると言葉が流れ出た。

「アミュレットです。日本風に言うと護符ですね。黒い石は黒曜石、地金は銀、表裏どちらにも守護の文と紋が刻んであります。邪気払いの効果があるので、これから大元の原因がわかるまで、常に身につけておいて下さい」

――アミュレット、所謂ところの守護符。

素材によって色々な効力を発揮するけど、私が今朝柊一路に渡したこれは、その名の通り守護能力をすこぶる特化させてある。なまじかの呪いなら簡単にはじいた上、それなりの報復を相手に与える程度には。

蔦が絡み合う意匠を凝らした純銀の地金に、黒い石が嵌った指輪。
ここしばらく相手の力量をさぐり、このレベルのものであれば命の危険が及ばないよう影響を緩和できる――と、めぼしをつけた結果だ。

私がせっせとカスタマイズした渾身の一品であるそれは、今は柊一路の指にしっくり納まっている。
因みに。何故”今は”なぁんてつけるかというと、渡した後、ほどんど説明すらしてないのに「いらない」と突っ返されたからだったりする。
朝だったから、すったもんだと押し問答をしている内に遅刻しそうになって、つまり、最終的にはもう無理やり柊一路の指に押し込んでやったわけだ。

あ、思い出したらちょっと腹立たしくなってきた。

「アミュレット、ネ。――それで、これがあれば警護は不要?」
「ああ、はい。そこは朝、少しだけ説明しましたよね」

なぁんだ、結構私の話、聞いてたんじゃないか柊一路。
……ん? いや、違うか。その辺を説明した後、話をまったく聞いてくれなくなったんだ……。
そういえば。さっきも、傍にいる必要がなくなって嬉しいかとかなんとか、聞かれたっけ。
これはあれ? まさか嫌がらせ? 私に対する嫌がらせなのか柊一路!

眉間に皺を寄せる私の前で、柊一路が胡散臭そうに自分の手を覗き込む。
ひらひらと表裏を反転させ、何かを考えこむように首を傾げ――。

そして。私はまたまた信じられない言葉を聞いた。

「邪魔くさいナ」

じゃ……っ、邪魔ぁ!?
手に入りにくい材料も使っていて、おまけに手先がちょっとばかし、ほんのちょっとばかしだけ、器用とは言い難い私にしては、ものすんごく頑張った結晶をこの男は!

人の苦労も知らないでなんつーことをほざくかなっ! 第一、文句言ってられる状況か? 違うでしょうっつのよ!

「と――とにかく、ですね。邪魔だろうとなんだろうと、つけといて下さい。これでもう私が先輩に張り付いてなくても大丈夫ですから」

怒り心頭で若干声が震えるのは、致し方ないことだと思う。
だけど、ここは我慢だと自分に言い聞かせぐっと耐える。今後の生活が掛かった重要な局面なんだから、無用に波風立てるのはきっと得策じゃない。

そう、我慢だ。我慢するんだ私。もうなんでもいいから柊一路の身の安全が確保できれば、この不本意な生活から少しは脱却できる。

「へぇ……なら返す」
「は? は!? ちょ、先輩、なんで返してくるんですか、いやふざけないでちゃんと身につけといて下さいって」
「ヤダ」
「やだって、やだじゃありません、いいからほらつけといて下さい」

私の掌に押し付けられた指輪を、ぐいっと柊一路の手に押し付け返す。
なんだっての。四六時中、私に張り付かれてるよりは多少邪魔でも指輪してたほうがましでしょうよ! 我がまま? それとも、これも嫌がらせの一端だとでも!? そんなもんに命賭けないでよ! 自分の身の安全、ちゃんと考えてんのこの男は!

「アンタさ、人の言葉の裏を読むってこと知ってる?」
「は? 裏?」
「ああ、もういいヨ」

不承不承感丸出して、それでも指輪を受取った柊一路は、いいと言ったくせにまだ何か言いたげにみえた。

……普段は言わなくていいことまで無神経にズバズバ言うくせに、なんだっての。

まあ受取ってくれるならこの際なんでもいいけどさっ、いいんだけどさあ! なぁんか釈然としないわあああぁ!

「じゃ、これで私はお役御免ですね。それじゃ先輩、さようなら」

もやもやしたまま、だけどこれ以上長居は無用と、しゅたっと右手を上げて。
とっとと立ち去ろうとしたところを、「待て」と冷たく呼び止められた。

なんですか、文句でもあるってんですか? アミュレットつけときゃとりあえずダイジョブってことがわかったんだから私はもう必要ないはずですが?

「これでお役御免なワケ?」
「……指輪の効果、あったと思いますけど」
「偶々何もなかっただけかもしれない」
「……ぐっ」

ちっ、痛いところを。でもさ、でもよ。あれっだけ頻繁に起こってたあれこれが無かったんだしさ、これはもう大丈夫とみてもいいかなって思うわけよ。

……そこはちょっと妥協しても……。

「魔女」

……無理ですよねえぇっ、はいっ、わかってましたよ!そこを突かれるって。

はあ、と肩が落ちる。
喜びが大きかっただけに、がっかり感が半端ないわぁ。
一応、完全放置でなく影からこっそり見守るつもりではいたんだけど、この分じゃ、いまさら言ったところで納得しちゃあくれないだろう。
べったり一緒にいるよりはお互い負担が少ないと思ったんだけどなぁ。

「わかりました。もうしばらく様子をみましょう」

がっくし。まだしばらく続くのかぁ、この生活。

まあ、こっちはとりあえずの対処方法がみつかっただけでも儲けものって思おう。
人間、前向きに生きる事が大事だよね、おばあちゃん。

前向き、前向き、前向きに。辛い事の後には楽しい事がきっとある。
よっし、行ける。ちょっと元気でた!

当面、柊一路の安全は確保した、はず。根本の原因を探るための猶予が少し出来たから――後、残る問題は、やっぱ捜し人かな。

進展、ないんだよねぇ、正直。
柊一路の護衛で手一杯ってのもあったんだけど、その合間を縫って幾つか打ってみた手はことごとく不発。成果は芳しくない。

「先輩」
「ナニ」
「今更の問いでアレなんですけど、先輩の探してる人って本気で実在してます?」
「あたりまえダロ。それこそ今更。まさか弱音?」

違います。手がかりの少なさにちょこっと心がくじけてるだけです!

……なんてこと、もちろん言えないわけよ。
基本、依頼人を不安がらせるようじゃ駄目、だけど無用に期待を膨らませるのも駄目。この商売、メールでの遣り取りが主とは言え、実は結構な対人スキルが必要なのだ、意外に。

ううーん、どこから間違ってるんだろ。

いや、間違っているといえば、そもそも依頼のされ方からしてイレギュラーだったわけで。
そう考えると、柊一路に関わったのが間違いそのものなんじゃないのっていう、根本過ぎる問題に立ち向かわなきゃならなくなるっていう……。

だああああ、ホント、その根本問題を解決してっていうか、寧ろなかったことにしたいわああああ!

展望のなさに、肩が落ちる。はぁ……なんて、溜息をついてうな垂れたら、ぱらりと髪の毛が頬にかかった。

――……っな、ゆーな!

垂れてきた髪を何気なく掻き揚げていた手が、ふと止まる。

「? なんですか?」
「ナニが」
「いま、呼びませんでし、た……よ、ね」

柊一路じゃ、ない。声が、違った。さっきのは、どう聞いても小さな女の子特有の高い声だった。

じゃあ、誰。ここには柊一路しか、いない。

――早く、早く、早く! 思い出して! 思い出してってば!

また、聞こえた。しかも、今度はよりはっきりくっきり明瞭に。

どうにも、えらく切羽詰った様子だけど、なにを言われてるのやら、さっぱりわからない。
思い出せ? もうちょっと具体的に言ってくれなきゃ、心当たりを探ることもできやしないってば。

こんな珍奇な状況に、取り乱さずしっくり馴染んでる自分が不思議だけど。
おどろおどろしい感じが全然しないから、まあ、怖くはない。
しかも。このところのあれこれで、何でもありな気がしちゃってるんだよね、結局のところ。
なんでもどーんとこいって心境は、すばりこんな感じじゃないかな、はははは。

――このままじゃ、駄目なの。

はあ……駄目って? どう駄目なの?

一応頭の中で問いかけてみたりする。どーんとこいって心境だからね!
なんでもやっちゃうわよおおぉ。意志の疎通が出来るかは、さっぱりわからないけど! ああああ、若干、やけくそって気が自分でしなくもない。

――もう、次はないんだよ? もう会えなくなっちゃう。わたしは、そんなのやだ。一緒にいたいの。だから、約束、したのに。約束、なのに。

約束? そりゃあ破ったら大変だ。
他愛のない口約束にだって、それなりの効力がある。約束は契約。
つまり反故にするっていうのは、少なからず代償が必要になるってことだ。

――守りたい。泣いて欲しくない。傷ついて欲しくない、よ。

「おい、魔女」
「え? はい?」

軽く肩を揺すられ、夢から覚めたように現実へ引き戻された。
泡が弾け飛ぶように、いましがたまでしっかりあったはずの声も気配も一瞬で消え失せていた。

……柊一路が、いる。

現実と幻の境界がひどく曖昧で、ぶるっと小さく頭を振った。
ん、大丈夫。こっちが現実、だよね。

困った。私の頭が、ちょっとばかし残念なことになってるってことじゃなかったら、今の何だったんだろ。
約束とやらにさっぱり心当たりがなさ過ぎて、いっそ清清しいほどなんだけど。

「魔女、ナニ考えてるのか知らないが、ちょっと上向け」
「ええ? 何でですか、嫌です」

思考の方向は明後日にふっとんでても、柊一路の要求には即座に否と返す。

よぉし、偉いぞ私。やるな、私。

もっとも。柊一路の方が背が高い。答えるのに相手を見れば必然的に見上げるような格好になるわけで。
嫌といいつつ結局従ってるなんていう、なんとも間の抜けた結果になった。

……っ、……近ッ!

なんで屈みこんでるのよ! 吃驚するじゃないのさっ。
しかも、手! 手が! ああああ、人を勝手に引き寄せるな!

「なんですか」
「静かに」

私の唇の端に触れるか触れないか。柊一路の吐息が掠める。
なにこれなにこれ、なんだこれ。そりゃ、不本意ながら何度か、その、ちゅーとかしちゃってはいますが! この距離感は慣れない! さっぱり慣れない!

「廊下を挟んだところにある窓の外、黒猫がいる」

く、黒猫? それがなんだっていうんだ柊一路!

――……あ、あー待って。そういえば。柊一路ってば、この間も、黒猫がどうとか言ってなかったっけ。嫌い? 苦手? そんなことを聞いた気が。

でも、どうして今、そんなことを私に?

ちりん――……。かすかに鈴の音。窓が少し開いているのかもしれない。
そよと風にのったその音が徐々に遠ざかっていく。

「――追え」

は? 追え? 猫を? 一体どういうこと?

意味がわからず、柊一路の次の言葉を待った。
けれど、それきり黙り込んだ柊一路に詳しく説明する気は皆無らしい。

……なんなの。まさか手がかり、とか? 黒猫がなにかの手がかりってこと?
ええい、良くわかんない。けど。女は決断力よ!

「――わかりました」

低く呟く。いつもはありえないしつこさを見せる柊一路の腕が、この時ばかりは素早く解かれた。

どうせ手詰まり。なら、柊一路の言葉にのってみる。

廊下とは反対方向。どん詰まりに向って一歩、二歩。なるべく柊一路から距離をとった。

そして。

前に突き出した右手が壁に触れた瞬間、あたりの景色が一変した。

青々とした緑、濃密な木々の香り。まだ明るさを残す陽射しの中、濃い陰が満ちている。

――ここ、学校裏の林だ。

確か生徒が組織する育樹委員会なるものが管理してるはずだけど、今日は活動してないらしい。
猫の気配を辿って移動した先が無人だったのは幸いだった。

割りと後先考えずに飛んじゃったけど、人がいたら面倒な事になってたわよね。
記憶の消去をすりゃいいとは言え、無闇矢鱈と人の頭の中を弄るのは、まあ褒められた事じゃない。

しん、と静まり返っている中を、忍び足で進んでいく。

さて、黒にゃんこはどこに行ったものやら。
呼んだら出てきてくれる、なんてことはない、か。

ああ、鰹節の一つも常備してれば良かったかなぁ。でも結構シュールな絵ずらだよね、ポケットから鰹節。

馬鹿な考えを振り払い意識を集中した耳に、右手方向からちりんちりんと鈴の音が届く。

――よし、向こうか。

木々の陰に身を潜め、黒猫という名の糸を手繰る為、夕暮れの中、私はそっと追跡を開始した。



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