ルール01.魔法が効かないことに、私こと桜侑那が愕然とすること
ならびに、柊一路の特異性について考察すること

33




「そろそろ大丈夫ダロ」

背後をうかがって呟いた柊一路が足を止めた。

すでに書斎のあった場所はすっかりわからなくなっている。
色々と曲がったり降りたり昇ったりしたような気がするんだけど、どこよここ。

「魔女?」

へたり込んだ私の頭上に、呆れたような呼びかけが降ってきた。けど、答える気力はどこを捜しても見当たらなかった。
もう、駄目。限界。そもそも私、そんなに運動得意じゃないんだってば。体力勝負なんて論外なのよおおおっ。

乱れる呼吸をどうにか鎮めようと深呼吸を繰り返す。
思いっきり息を吸い込んだところで、気管支が思わぬ具合に痛んで咳が出た。

「大丈夫かヨ」

まったくもって全然大丈夫じゃない。苦しくて涙まで出てきたっつーのよ。
移動手段を魔法に頼っちゃうのも良し悪しかもしれない。もう少し体力つけないと、身が持たな……ん?

――背中、さすられてる?

恐る恐る横を見ると、柊一路の上半身が見えた。うん、しゃがんでる。
そしてやっぱりこの状況で私の背中をさすってるのは、柊一路でしかありえない。

驚きすぎて、咳が引っ込んだ。
触られてることがどうのじゃなく、あからさまに労わられているらしいことが衝撃過ぎて、その手を振り払うことも出来なかった。

丸めていた背筋をびしっと伸ばし、くるりと横を向く。

「もう、大丈夫ですから」
「あ、そう」

なに? どうしたの? 怖いんだけど。 もしかして偽者? やっぱり偽者だった?
疑念がむくむくわきあがる。更に、立ち上がった柊一路が手なんぞ差し伸べてきて偽者疑惑はますます深まった。

「ナニ、その目」
「え? いえ、あの……本物、ですよね?」

ついうっかりぽろっと再確認してしまった。
冷たい一瞥の後、不機嫌そうに手が引っ込められ……と思いきや、突き出された手のひらで、額を小突かれた。
多分、かなり軽くだったと思う。でも、限界突破間近の私はふらりと後ろに倒れ掛かり、目前にあった腕にしがみ付く羽目になった。
勝ち誇ったように睥睨され、しまったと思ったけど時すでに遅し、だ。

「なんなら担いでってやろうカ?」
「結構ですっ」

つかんでいた腕を慌てて離し、自力で立ち上がる。クラっと僅かに目が回ったけど、根性で踏ん張った。
くっ、労わられているとか、超絶気のせいだった。やっぱり意地が悪い。私ってば疲れてて頭が回ってなかったんだわ。

ひとり納得する私をあっさり残して、柊一路は、さっさと歩きはじめた。

「ちょっ、柊先輩」

闇雲に歩き回っても疲れるばかりだとは思うが、薄暗い廊下はひたすら一本道だ。
なら、立ち止まっているよりは少しでも進むべきかもしれない。

小走りで追いつく。迷いの無い足取りで黙々と進む、黒い背中。
不吉なことこの上ないけど、まるで死神について行ってるみたいに思えてくる。

行けども行けども変わらぬ景色に、なんだかぼんやりしてきて、ほぼ惰性で足を動かし始めた頃。

「侑那、さっきの質問、あんたはどう答えるつもりだった?」

急に問いかけられて、しばらく意味がわからなかった。
いや、ぼやっとしていられる状況じゃあないことはわかってるんだけど。

「……質問、ですか?」
「さっき、あの悪魔に聞かれたろ。どこまでその身を差し出すことができるカ」

ええと、あの質問、か。つまり、アレ――に私がどう答えるつもりだったかってこと?
まとまらない考えをどうにかまとめようとしている最中に、痺れを切らしたのか柊一路が先に口火を切った。

「まあ、推して知るべし、だナ。蹴り上げようとしたくらいだし?」

……う、まあ……蹴り上げようとしたけどさ。
でも非常事態だったわけだし、淡々と非難するのはやめて欲しいんですが。

それに、正直にいうなら――わからない。
あの時、結局私の反撃は止められたわけで。その後、柊一路が本気で操られていたとして、その先、どうしたかというと――もうまるでわからない。

ああ、まったくもう、自分のことなのにわからない事だらけってどうなのさ。
この男に振り回される前までは、こんな私じゃなかったよ。

「あんたさ、どうしてここにきた」

感情の見え難い声に、微かな非難が混じっているのを感じた。

「なんでって……」

唖然として、先を進む背中を思わず穴が開くほど凝視してしまった。
そりゃあ助けに来たに決まってるってのに、なんだって非難? 理不尽すぎて意味がわからんぞ、柊一路。

「一応、先輩は依頼人ですし? 大怪我でもされたら私の沽券に関わるんです。大迷惑です」

憤りにまかせ、一息に言い切る。結構ないいようだったと思うが、それでも、柊一路はこちらをちらっとも見ない。
広い背中を、負け惜しみのように睨みつけた。

なにを考えているのか、さっぱりわかりゃあしない。まったくもう、いい加減、面倒くさい男だな。

感謝されたいわけじゃないけど、ここまでしっかり拒絶されると、さすがにへこむ。
むきになってる自分が、ちょっとだけ虚しくなった。頭に上った血がさがる。

「……血を見るの、好きじゃないんです」

知らず知らずのうちに、ぽつりと呟いていた。

――血を見るのは、苦手。

言葉を交わして、日々を共にすごした人のそれなら、もう絶対に駄目。
ほんの少しだとしても、それは命が流れ出しているってことで、それはつまり死に近づくってことだ。

「そんなこと、知ってるヨ」
「え?」

どん、と鼻先が固い背中にぶつかった。

……またか。またこのパターンか。どんだけこの人の背中に突っ込むのか、私よ。
私が学習しないのか、柊一路がわざとやっているのか。出来れば後者であってほしい。

「アンタのことなら、大抵のことは知ってる」
「は?」

大抵のことって。そりゃ、魔女であることはばれてるけど。それで私の大半を知ってるってのは、言いすぎでしょうよ。

「そんなわけ――」

ないじゃないですか、と言いかけて言葉を飲み込む。
あるはずの背中が目の前から消えていた。視線を落とした先、床に膝を突いてうつむく姿に息が止まりそうになる。

「柊先輩っ」

まさか、他にも何か仕掛けられていたんじゃ。

ああ、いや、頭というか、額を押さえている。最初に見たあの傷が痛むんだろうか。
隣にしゃがみこんで、様子を窺ってみる。だるそうではあるけど、顔色が悪いわけじゃない。貧血、とかではない気がする。

「頭ですか? 大丈夫ですか?」
「……まあ、少なくともアンタよりは大丈夫だとおもうケド」

ん? なんか会話がかみ合ってない……というか、私より頭が大丈夫ってそれはどういう意味だ。

「怪我のことですよ」

語気を荒げて補足すると、わかってるというように柊一路が軽く頭を振った。

「大したこと無い。乾いた血がはがれて目に入っただけ」
「そう、ですか」

声に、明らかな安堵が混じってしまった。

「そういえばアイツ、大丈夫だったカ?」
「アイツ?」
「黒猫」
「すっかり元気とはいきませんが、多分、大丈夫です」

そうか、と息をついた柊一路の額に、手を伸ばす。
他意はなく、純粋に怪我の様子を見ようとしたのだけど、すっと身をひかれてしまった。

「先輩? 怪我の具合を」

みせてください、と言い切る前に、再び伸ばした腕を振り払われた。

「触るな」

強い拒絶に、振り払われた手を引っ込めることも出来ず、呆然と立ち尽くす。

ええ、と? そこまで拒否されるようなこと、した?

というか、なんだこれ胸が痛い……いやいや、触るな、なんていわれるとは思わなかったからであって。
ごく一般的な反応というか、決して柊一路だからとか、そんなことは……。

「……柊先輩?」

――おかしい。さっきよりも息があがってる。

柊一路が顔を顰め、汗にとかされたこめかみの血が、薄赤い筋となって頬の輪郭を滑り落ちた。

「どこか怪我を?」
「……ちがう、近寄る、な」

低いそれは、搾り出したというよりも唸り声に近かった。咄嗟に手を引っ込める。

……なに?

垣間見えたそれに一番近いのは――多分、獣性、だ。

――まさか。

「フリじゃなかったんですか」

思い当たった可能性に愕然とした。冗談、だと言ってほしい。

「……だったらどうすル? その身を俺に差し出すとでも?」

乱れた息の中に、揶揄するような響きが混じる。かっと頬が熱くなった。
この馬鹿、ぜんっぜん、平気じゃなかったってことじゃないのっ。


『どこまでその身を差し出せる――?』


悪意の潜んだ暗い声が、頭の中で繰り返される。

答えを見出せないまま、けれど片手を床につき倒れこみそうになる柊一路を放っておくことなんでできなかった。

「先輩」

眉根に皺を寄せ、眼を閉じ、端正な面立ちはつらそうに歪められている。
そっと背中に手を伸ばすと、気配を察したのか柊一路は頭を左右に振って、はっきりと拒絶を示した。

「……頼む、触るナ。もう、触れるだけじゃ駄目だ。次は、抑えられない」

どうしてこんなときに、懇願するの。いつもみたいに命令すればいいでしょうが。

指先をぎゅっと握りこみ、腕を下ろす。

「このまま歩き回っていてもたぶん出口は見つかりません。少しだけ歩けますか?」

柊一路は億劫そうにうなずき、ゆらりとその身を起こした。私が触れられない以上、どうにか自分で歩いてもらうしかない。

時折、つらそうに眉をしかめる柊一路の様子に、きゅっと下唇を噛み締めた。

無性に、腹が立った。あの悪魔にも、こんな状態になるまで黙っていた柊一路にも。そしてなにより自分自身に。

どうして気づけなかったの。気づける要素はあったのに。

さっき、触れるだけじゃ駄目だと柊一路は言っていた。

おそらく、最初のうちは私に触れれば症状が治まっていたんだろう。
柊一路が私の背中を撫でたのは、私に触れることで一旦症状が治まったから。

けれど、徐々にそれでは足りなくなってきた。多分、そういう仕掛けだ。

あいつは柊一路の状態を知ってたから、手を出してこなかったんだ。
ただ時間が経つのを待てば良いだけだって知っていたから。

――私たちがどうするか高みの見物って? 悪趣味にも程があるっつーの!


来たとき以上の時間をかけて、幾らか廊下を戻る。右手に、紫壇で出来た扉があった。

ここに来るまでにいくつか部屋の入り口はあったのだが、取っ手を回してみたらすべて鍵がかかっていた。
無理に押し入ることをしなかったのは、あいつの罠が仕掛けられている可能性があったし、どう考えてもこの館は普通じゃない。

正規の手順――この場合は鍵で開けるということだが――意外で入るのは危険すぎるということで、無視していた。

けど、背に腹はかえられない。一度、深く息を吸い込む。ゆっくりと吐いて取っ手に手を翳す。
かちっと小さな音が聞こえた。いまのところは問題なし、か。

そろそろと扉を開けると、中から人工的な光がほんのり漏れてきた。どうやら灯りがついているらしい。
まさか、誰かいるの? いるのが味方ならいいけどその可能性は限りなく低い。厄介事は勘弁してほしい。

中をそっと覗き込む。ダンスホールのようなその場所に、人の気配は無かった。
それどころか、広いなあ、なんて、ありきたりな感想しか出てこないくらい、見事に何も無い部屋だ。

あるのは高い天井から吊るされている、豪勢なシャンデリアと、部屋の中央に敷かれた丸いラグくらいのものだ。

扉横の壁にもたれている柊一路を促して、とりあえずラグの上に座らせる。
一通り内部を調べてみたが、入ってきた扉以外、出られそうなところはなかった。

……窓もなし、ね。まあ、いまの私には好都合か……。

「それで、次はどうするつもりダ?」

毛足の長いラグの上に座り込んだ柊一路が、私を見上げていた。
おお、見下ろすのってちょっといいかもしんない。

「結界をはります」

私の意図を計りかねたらしい柊一路が、不審そうに結界? と繰り返した。

「先輩に掛けられているのは、悪魔の仕掛けた罠です。術をかけた悪魔でなければ、間違いなく解くのに時間がかかります」

いまの状態を見る限り、仕掛けられたそれを読み解き、解除するための方法を探る時間があるとは、とうてい思えない。

「ですから結界で魔女の力を……つまり私の力を無効化させます。先輩に触れられても暴走しないように」

出来るだけ一息に言い切った。

力を無効化させておけば、柊一路に触れられても暴走はしない、はず。
自分の力を無効化させるなんてやったことは無いけど、理論上は出来る……と思う。たぶん。

媒介となるものに私の力を移して結界の維持をさせ、私自身は結界の中に入ることで力を失う。
少なくとも媒介となるものを壊さない限りは、持つはずだ。

無力になった私を、あの悪魔が放っておいてくれるかというのは疑問だが、この状況を楽しんでいるのならしばらくは見逃してくれるだろう。
相手の気まぐれをあてにするなんて無謀にも程がある。でも、他に妙案は浮かばない。なら、やるしかない。

「……暴走しないようにして、どうするつもりダヨ」

低く低く、問い質された。
けど、わかりきっている答えをわざわざ返すつもりは無かった。

柊一路は、それ以上なにも言わず、ただ険しい目でこちらを見ていた。



***




媒介に出来そうなもの……って、ホントに何もないなこの部屋。
仕方なく、とりあえず手持ちのものを床に並べてみる。

二つ折りにされた紙、それに柊一路から突っ返された指輪、後は魔法道具がいくつかあった。
他の術が掛かっているものは、どう作用するかわからないから避けるとして……そうすると、頼りないけどこの紙が最適ってことになる。

これ、黒猫にもらった写真だよね、確か。ただの写真っぽいから媒介にしても問題ないか。

二つ折りになった紙に手のひらをこすりつける。
少し固まりかけていた傷口から新たな血がにじみ、白い面に赤い筋をつけた。

これで、下準備はおしまい。この後うまくいくかどうかは、正直、運まかせだ。

紙を床に置き、その正面に正座する。

深呼吸を、一度、二度……。結界をはる範囲は、柊一路の座っているラグを目安にすることにした。
あまり広くしても意味は無いし、無駄に力を使うだけだ。

古ぼけた紙を間に挟むように、両手を床につく。

手のひらが徐々に熱を持つ。それにあわせ、白い紙が仄かに明るさを増していた。
幾つかの呪文を組み合わせながら、囲いをくみ上げていく。力の結び目は、すべて媒介とした紙に拠りつけた。

すべてを組み終わり、結び終わった後、こめかみから流れ落ちた汗が、床に小さなしみを作っていた。
荒い息をどうにか整えようとがんばっても、なかなかおさまってくれない。

……こりゃあ、予想以上に、きっついわ。

ふらりと立ち上がり振り返る。ラグの真ん中辺りに座り込んでいる柊一路をできるだけ見ないようにして、結界の外縁へ目を向けた。

不可視の――囲い。

敵意を持って向かってくる力を弾き――入ったものの魔力を無効にする効果をもつはずだ。
もっとも、あの悪魔に対してどれだけ効果があるかは怪しい。

ふっと息を吐き、一歩、踏み込む。途端、落下するようなぞくっとする浮遊感に襲われた。
ざっと肌が粟立ち、ついで反動のように一気に力が抜け、ラグの上に両手、両膝をつく羽目になった。

これって、虚脱感? ってことは、成功? ためしに意識を集中してみるが、いつものような手ごたえがまるで無い。

わかってしたこととはいえ……力が無いって、こういうことなの、か。

「オイ、魔女」

呼びかけられ、はっとする。柊一路は、やっぱりきつい眼差しで私を見据えていた。
しっかりしろ私。呆けている場合じゃあ、ない。ない、んだけども。ああああ、体に力が入らないっ。

これって術の副作用かなんか? うう、仕方ない。

ずるずるとラグの上を四つんばいで進む。
なんだろうこれ、ああでも匍匐前進じゃないだけましなんだろうか? うん、匍匐前進は恐怖映画だよね、それに比べたらまだ大丈夫だ私。

間近に迫った私を、柊一路はこれでもかっていう仏頂面で出迎えた。

なんだか、懐かしい。学校の屋上に呼び出したときにもやっぱりこんな仏頂面だったよねぇ。
あの時は、こんな事態になるなんて、まるで想像してなかったよなぁ……。

柊一路は押し黙ったままだ。その視線から逃げたくて、顔を逸らす。
いや、こうしていても埒が明かない。

「……その、どうすれば……いいでしょうか?」

意を決した問いかけは、吃驚するぐらいかすれた声になった。
あ、あれ? なんで? おかしい、こんなはずじゃ……。

困惑したまま俯いていると、ややして、ため息が聞こえた。

「――馬鹿かアンタは」

ば、ばか? ええ、そりゃあもう、自分でもそう思いますとも!
でも、もうこれしか手段を思いつかないんだから、仕方ないでしょうがっ。

「手が震えてる」

大きな手のひらに握りこまれた私の指は、確かに震えていた。

「ほんっとに、お人よしだナ」
「――馬鹿にしてるように、聞こえるんですが」
「いや? 呆れてるダケ」

いいざま、私の右肩と腰をつかんだ手に、強く引き寄せられた。
首筋に柊一路が顔を埋める。びくっと肩がはねてしまったのは、突然すぎて驚いたからだ。……多分。

だ、大丈夫。大丈夫、大丈夫だ私。結界はうまく作用している。暴走しそうな気配は無い。
そう、これは人命救助であってそれ以外の意味はない。はず。

ないはず、なんだけど――まいった……普通に、怖い。

体に力が入らなかったのは、術の反動や副作用じゃないことにようやく気づいた。
というよりも、ようやく認められたって言ったほうがいいかもしれない。

ぎゅっと眼を閉じ、がちがちに固まったまま、次を待つ。
でもいつまでたっても何も起こらず、そろそろと目を開けた。

「あの……」
「はいそうですかって、できるわけないダロ」

柊一路が肩口でぼそっと呟く。肌に息が掛かり、くすぐったさにぞくぞくした。
僅かに身じろぐと、そのまま肩をぐっと押し返された。

まともに視線が絡み合い、気恥ずかしさと緊張で慌てて俯くことになった。

「魔女」
「はい?」

あああああ、しまった、素っ頓狂な声がでた……っ。

「捜し人を見つけたって、言ったよナ」
「え、ああ……はい」

そういえば、逃げるときに奥の手で使ったような……逃げ出した後、聞かれなかったからそのままになってたけど。

「なら、聞かせてもらおうカ」
「いま、ですか?」
「いますぐ」

どうしてこんな時に、とは思うが、私を見下ろす柊一路は有無を言わせぬ迫力だ。
無駄にしていい時間は多分もうそれほどない。けど、私が答えなければ柊一路は納得しそうもない。


「捜し人は――」


一呼吸おいて、目の前にいる人物を指し示す。


「あなたです、柊先輩」



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