09. 聖なる夜に


志筑の大きな手が、やさしく私の胸に触れてくる。

ん?んん?
あ、あれ。志筑の手の動き・・・・が。

いや、キス・・・されてるときに、何度か触られたことはあるんだけど。
そ、それにしてもここまで・・・揉まれなかったというか・・・。

制服の裾から、志筑の手がするりと入ってくる。
スカートの中に入れていたキャミソールの裾を、引き出された。
直に、志筑の手が素肌に触れる。

「ん・・・・志筑、手・・・・冷たい。」

ひんやりとした感触に、肌が粟立った。

「すぐ、熱くなる。」

志筑が、私の耳朶を甘噛みしながら囁いてくる。

う、うわああ。し、志筑、キャラ違うし。

どくどく鳴る心臓が、うるさい。志筑の動きに、私の頭の働きがついていかない。

志筑の深い口付けに私の息が上がる。
あんまり緊張し過ぎているせいか、意識が遠のきそうになった。
志筑が私の背中を支えながら、そっと腰掛けていたベッドの上に寝かせる。
私の上に圧し掛かる志筑を見あげる格好になり、私の動悸が・・・いっそう激しくなった。

志筑が、口付けてくる。
口付けながら、志筑が私の制服を器用に脱がしていくのを感じた。
パチンっと音をさせ、ブラが外される。
志筑の手が、直に胸に触れてきた。
やわやわと揉まれているうちに、体が熱くなってくる。
胸の上を滑っていった志筑の手が、胸の頂に触れた。

「んんっ」

意識しないのに、声が漏れた。
志筑の片手が、足に触れてくる。

―――は、恥ずかしい・・・。これは、予想以上に恥ずかしいぃ。

もう既に私は根を上げそうだった。
体中のいたるところにキスを降らされ。胸を揉まれ。
足の間に志筑の手の感触を感じる。

恥ずかしいのに、身体の中が熱くなってくる。

「や、あ・・・・しづ、き・・・」

私が発しているとはとても思えない、甘い声。
志筑の手が・・・ショーツの中に入ってくる。

這わされる志筑の指に翻弄され、何がなんだかわからなく、なった。
私が身につけていた服はすべて取り払われている。
だが、そのことにも気づけないほど、私は志筑に酔わされていた。

「七夜。」

志筑が、私の名前を呼んでいる。
私の中に、たぶん志筑の指が、入ってきた。

「ん・・・・あぁ。し、志筑・・・・やだ」

初めて感じる異物感に、私の体が逃げようとする。
だが、志筑の手が私の肩にかかり、逃げようとする体を封じられた。

幾度か志筑の指が私の中を行き来する。
私の中から湿った音が、した。

自分の体の変化が怖くなる。
志筑にすべてを見られている、そのことがたまらなく恥ずかしかった。

「・・・・しづきぃ・・・・。」

私の腕が無意識に志筑を求めてすがり付こうとする。
その私の手を取って、志筑が安心させるようにキスを降らせてくれた。

「七夜、力抜けよ?できるだけ痛くないようにするから。」

いつの間にか服を脱ぎ捨てていた志筑が、やさしく囁きながら私の膝裏に手を掛けた。こくりと私が頷く。

志筑に足を抱えられ、羞恥に顔が赤らむのを感じた。
足の間に入り込んだ志筑の高ぶりが、私の中心に添えられるのを感じる。
そして。

志筑が、私の中に入って―――――――きた。

「い、いったあぁぁああっい!」

絶叫、した。
私の痛がり様に、志筑の動きが止まる。

無理、むり、むりぃ!!だ、だって、ものすっごく痛い!

うわああ。よもやこんなに痛いとは。世の女性は皆こぉんなに痛い思いしているのか!?
てか。女だけこんなに痛いのは反則じゃないの?

「・・・・止めるか?」

きつく目を閉じた私の上から志筑の声が降って来る。

で、できれば、やめて欲しい・・・・。
でも。でも。ここで止めても、いつかはしないといけないんだし。
じゃあ。やっぱり我慢して続けたほうが?
多分、今やめたら次は怖くて出来なさそうな気がする。

ぐるぐるぐる。中途半端な状態で考え始めてしまった私の様子に、志筑が僅かに身を、引いた

「!?」

痛みに、私の思考が一瞬にして引き戻される。

「し、志筑!動いちゃダメ!動かないで!」

私の中から出て行こうとしている志筑の動きを止めようと、必死に志筑にしがみついた。

「・・・・動くなって、お前・・・・。それじゃ、止める事も最後まで終わらせることもできんだろうが。」

うう。その通り。正論なんだけど。
でも、世の中正論だけじゃ動かないものだと思うし。
要するに、どうにかこの状態で終わらせてくれるのが一番なんだけど。

「どうにかこの状態で終わらせられないかな?」

一応、志筑に提案してみる。

「無理。」

そ、そんなにはっきりきっぱり云わなくても・・・。
・・・・でも、やっぱり、それは無理よね。いや、わかってたけど。

そっと志筑の表情を窺ってみた。
そこには、私の顔を見つめながらじっとしている志筑の姿。

・・・・なんていうか。つ、つらそう?

眉根を寄せて、やや目を伏せた志筑の顔が、すごく切なそうに見える。

こ、この状況で待ったをかけてるって、酷いことしている?
そうよね。承諾したのは、私なんだし。
志筑に襲われてもいいとかいいながら、こんなことで怯んでちゃダメよ、やっぱり。うん。
それに、止めて貰うにしても痛いんだし。なら・・・・

「志筑、―――最後まで、して。」

・・・・うわ。こ、言葉に出すと、結構恥ずかしい台詞なんですが。
なんだか、体の奥が熱くなる。
どくどくと脈打つ心臓。ちょっと私、大丈夫なのか?

「大丈夫か?」

私の心を見透かしたように、志筑が尋ねてきた。

え、そんなに顔にでてた?
まあ。大丈夫じゃないけど。でも。もう、引かない。

「だいじょぶ!もう、さくっと一気にしちゃって!」

私が力を込めて言った言葉に、志筑が小さく笑った。

「なに?」

「いや・・・・いまさら七夜に色気は期待してないがな。」

「な、なにおっ・・・・!?」

反論しようと私が試みたその時。
志筑が、一気に私の中に・・・・入ってきた。



志筑の息が荒くなってくる。
私の中で、幾度も繰り返される抽挿。
その度に、しびれるような痛みが襲ってくる。

んん・・・、やっぱり、痛い・・・。

でも。志筑の・・・・艶めいた姿に、私の心臓がどくんどくんと、跳ねる。

・・・・確かに・・・・志筑の方が、私より色気、あるかもしれない。

女としてはちょっと情けないことを思いながら。
私は襲ってくる痛みの中。志筑にぼんやりと見とれて、いた。



私の中から、志筑が引き抜かれる。

「――――お、終わった?」

志筑の下。ぐったりしつつ私は情けない声で確認した。

「終わった。」

苦笑しながら私を見下ろす志筑の体にはうっすらと汗が滲んでいる。

うう。痛かった・・・・。いや、まあ。最後の方は大分慣れてきたのかそうでもなかったけど。でも。まだ志筑の入っていた感触が、生々しく残ってる。

「あ。」

ちょっと頭を上げると。
足元・・・というか。足の間、のシーツに、赤く散る跡が見えた。

こ、これって・・・・破瓜の血って・・・・やつか。

「ごめん、シーツ汚しちゃったね。」

私が謝ると、志筑がそこに視線を向けた後、私の額に軽くキスを落とした。

「・・・・別に、構わない。半分はオレの責任だし?」

ぼそりと、志筑が呟く。

・・・・うん。確かに半分、いや、半分以上は志筑の責任だ。

志筑の言葉に、深く納得する私。
志筑が静かに笑ってる。

笑い事じゃ、ない。ほんとにむちゃくちゃ痛かったんだから。
はー。それにしても、足の間、なんだかぬるぬるするというか。
お風呂、入りたいなぁ。
でも、ちょっと問題があるんだよね。今の私の状態だと。

うーん。
やっぱり、恥を忍んで、志筑に頼んでみよう。
だって。これはもう絶対、全部志筑の責任だもん。

「あのね、志筑。謝りついでにお願いがあるんだけど。」

私の上からどいて、薄手の毛布を私にかけた後。
ベッド脇に腰掛けてスウェットの下部分をはいていた志筑が私の方を振り向く。

「どうした?」

「シャワー、借りたいんだけどね。」

「ああ。」

「バスルームまで、連れてってください。」

「・・・立てない?」

「実は。」

うう。情けない。
でも、志筑のせい・・・・だよ。うん。そう。・・・・たぶん。

自分の醜態をとりあえず志筑のせいにしつつ。
私は志筑の反応を待つ。

「しっかり、つかまっとけよ。」

は?え・・・・ちょ、ちょっと待って!
手、手を貸してくれるだけでいいんだってば!

動揺しまくる私。然し、とき既に遅く。
私の体は、しっかりと志筑に子供抱っこされて、いた。

んん?なんでお姫様だっこじゃなく、子供抱っこよ?
微妙に、納得いかないんだけど?

しかし、そんな私の心の声は志筑に届くはずもなく。大股で歩く志筑に軽々とバスルームへと連れられていった。



「・・・・・あの、志筑?」

パタリと扉の閉められたバスルームの中に座らされ、私は志筑を見上げていた。

「なんだ?」

いや、なんだじゃ、なく。それは、私の台詞でしょう。

「なんで、志筑も一緒に入ってくるの?」

「オレも、風呂に入るから。」

ああ、そうか。・・・・じゃ、無く!
い、一緒に入ることないでしょ!?

志筑は、私を運んできた後。何故かしっかりちゃっかり自分もバスルームの中に入り込んでいた。
いや、まあ。一応、下は穿いたままでいてくれてるんで目のやり場には困らないんだけど。
でもね。私は、何にも着てないわけですよ。つまり。全部志筑に見られちゃってるんだってば。

「は、恥ずかしいので、出てってください。」

できるだけむっとした態度で、云ってみる。

「・・・・・・。」

あ、ちょっと。その何を今更って目で見るのは止めてよね。
そりゃ、さっき。全部見られちゃってるけど。
でも、さっきとは状況が違う。
こんな煌煌と明かりの灯った場所で、志筑に見られるのは。

ものすっごく、恥ずかしい。
うう・・・、志筑出てってよぅ。

しかし、志筑は、出て行く気はないらしく。
きゅっと音をさせ、シャワーのコックを捻った。
私の上に暖かなお湯が降り注ぐ。

「しづ・・・・っ」

抗議しようとした私の頭に、シャンプーの乗った志筑の手が伸びてきた。
志筑の手がやさしく髪を包み込み、泡立てていく。

あ、洗われてるし・・・・。

抗議をまったく聞く気のない志筑の目に触れないように、両手で胸元を覆いながら、私は恥ずかしさと、髪を撫でられている気持ちよさに困惑、していた。

内心葛藤しながらも、じっとしているうちに。
頭上からお湯がかけられた。
どうやら洗い終わったらしい。

ううう。初えっちの後。その相手に洗われてる私って・・・・。
ちょっと情けなくなりながらも。これで終わったとほっとした。

が。志筑は、今度はボディソープを泡立てると、私の体に両手を滑らせ。
しっかり私の体は泡だらけに、されてしまった。

「志筑!もう、いいってば!」

たまりかねて志筑を止めようと声を上げる。
しかし。やっぱり抗議は聞いてもらえず。
あろうことか、志筑は私の下腹部に、手を伸ばしてきた。

志筑の明確な意思を感じて、私はきつく足を閉じる。

や、やめてって。もう、無理。無理。無理。

「七夜。ほら、きれいにしてやるから。」

背後から私を抱きかかえられながら、志筑が耳元で低く囁く。
太腿の上に、志筑の両手が添えられている状態で私は必死に首を左右に振った。

「いい、いい、いい!自分で洗うってば!」

が。そんな私に対し、志筑がちょっと笑いながらとんでもないことをいった。

「―――七夜、さっきイケなかっただろ?ちゃんと、気持ちよくさせてやる。」

「!?」

な、なにゆってるのよおぉぉ!
し、志筑がえろ魔人だ――――っ!
別にイケてなくても全然構わないから。今日は、もう無理。無理。
絶対に、無理!!

しかし。私のそんな心の声は聞き入れてはもらえず。
志筑は結局私を・・・・追い上げた。



「七夜。」

志筑の低い声が耳に心地いい。

私が達した後。志筑は私の身体からキレイに泡を流して、湯船に入れてくれた。その後、着替えを取ってくるといってバスルームを後にしたのだが。
どうやらその間に、湯船に浸かった私の意識は半分以上飛んでいたらしい。
寝不足状態での志筑との行為は、かなりきつかった。
そのうえ、さっきは志筑にイカされ。もう、体力的に限界だった。

志筑が私を湯船から引き上げてくれる。
大きなバスタオルに、包まれ、体を拭かれる。
志筑は、そのまま私の体を抱き上げると、再び部屋へと連れて戻った。

・・・・・だるい。・・・・眠い・・・・。

志筑のなすがままではあったが、それでも、私は必死に眠気と闘っていた。

しかし、それも長くは持たず。
ベッドの上に乗せられドライヤーで髪を乾かしてもらっている途中。

私は、とうとう意識を手放していた―――――。



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