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悪者と女の子。
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2008/05/30(Fri) 18:46
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技術屋稼業覚帳<一世代前> 悪者と女の子
気配を消して。足音を立てず。 そっと忍び寄ってきた男の指先が喉元に触れた。
「ほっそい首。折れそう」
からかう言葉の中には、恐らく僅かの本気が混じっている。
「……別に、いいけど」
ここ最近。貴方が私の扱いに困り始めている事に、気が付いているから。疎まれるよりは余程良い。
「いいの? ホントに折っちゃうよ?」 「いいよ。貴方なら」
貴方のその手で最後を見せてくれるのなら、それは多分、上出来な人生だ。
困っている貴方の笑み。 私は顔を背け審判を待つ。
「君はだんだんズルイ子になるなぁ」
かすかな余韻とぬくみを残して、喉元から指先が外れた。
――ずるいのは、貴方の癖に。
私をどうすることも出来ない貴方が、一番、ずるい。
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